連載コラム 「大谷和利の気ニナルデザイン」   

vol.82 フォールディングチェアに見えないフォールディングチェア

17.03.08

ロック・ペーパー・ロボットは、複数の浮遊するキューブから構成されたテーブルやシェルフなどのフロート・ファニチャーシリーズで知られた、ニューヨーク・ブルックリンにオフィスを構える高級家具のメーカーだ。

例えば、「フロート・テーブル」は(2万ドルもするのだが)、磁力により反発し合う27個のウッドブロックを極細のワイヤーで結合することで、一見、個々のキューブが宙に浮いているかのような視覚的イリュージョンをつくり出す驚きに満ちた製品となっている。


そんなアイデアとそれを支える技術を持った会社が、フォールディングチェアをデザインするとどうなるのか? その答えが、現在、クラウドファンディングで製品化の資金を調達中の「オリーチェア」である。

アルミ製の脚部と木製の座面を持つオリーチェアは、その材質と色の対比も素晴らしいが、背もたれの上部に仕込まれたストリングを引くことにより、ワンタッチで折り紙的に畳むことができる。


座面は、伝統的にロールアップデスク(デスクトップを木製のロールブラインドのようなカバーで覆うことができる机)で使われてきたタンボー(短冊状のフレキシブルなウッドパネル)を応用してつくられ、展開時にはランバーサポートを含めた曲面となって身体にフィットするが、畳むと表情のある平面へと変化し、壁などにかけてインテリアとしても楽しめる仕掛けだ。

そのユニークな構造とエレガントな折り畳みのメカニズムは、日常的なプロダクトにもまだ革新の余地が残されていたことを印象付ける。一脚当たり300ドルと、フォールディングチェアとしては決して安くはないが、ロック・ペーパー・ロボットの製品のなかでは破格のバーゲンといっても良いだろう。




大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。著書は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)、『iBooks Author 制作ハンドブック』(共著、インプレスジャパン)など。最新刊に『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』(講談社)がある。

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