連載コラム「ナカダイの産業廃棄物日記」   

第38回「東京2020オリンピック・パラリンピックへの提言」

16.12.16

もう年末のご挨拶をする時期なってしまいました。年末年始、新しい期の初め、区切りには必ず振り返りをします。反省とか、目標の設定という固い感じではなく、振り返りです。自分を俯瞰して、そもそもの「想い」と今の自分がずれていないか、これからの自分を見直す作業です。そんな中、念願の?本を出しました。内容は、生まれてから今に至るまで、自己の履歴や思考方法、環境ビジネスについてと広く書いてあるので、ここでは、その中でいちばんビジネスよりの要素を、より深く書きたいと思います。

環境・リサイクルの分野は、みんな否定しない、否定できない雰囲気が世の中にあります。まさか、分別は面倒だからやらない!とか今さら言えない。CO2や温暖化も、自分ごとで考えられる人は少ないのですが、まさかそんなの関係ないよとは言えない……。
環境ビジネスの分野は、だからこそ、情緒的ではなく、仕組みとして、経済的にも成り立たせることが必要で、さらに言えば、それはナカダイ独自の仕組みではなく、同業にも展開できるモデルであり、ゆくゆくは世の中のスタンダードになるように、一部ではなく、社会の基盤になるくらいの目線が必要です。

私は、環境を守ろう、省エネ・分別をしようという過去、現在の状況への“対策型”環境施策ではなく、自ら先手を打つ“創造的”環境施策をするフェーズに入ってきたと考えています。モノ:ファクトリーを立ち上げたときの、リサイクル、リユースに並ぶモノの活かし方はないのか?と同じ思考ですが、もっと、川上に遡った感覚です。

ところで、現在、ナカダイの工場では、システム化を進めています。ナカダイに入った廃棄物がどうやって分別され、加工され、移動され、クリエイティブに使われたか、リユースされたか、リサイクルされたか、物量、工程、モノの導線のすべてを見える化するプロジェクトです。数百社のお取引先から、一日に運び込まれる60トンを超す廃棄物の99%のリサイクル率を達成するには、安定的に定量のリサイクル材を、同じ品質で供給し続ける必要があり、その意味では、ナカダイは、もはや生産工場です。

しかし、私たちは、普通の生産工場のように、注文した部品と仕様を指定して仕入れるようには、廃棄物を仕入れる(受け入れる)ことはありません。私たちが仕入れるモノは、“廃棄物”です。“廃棄物”というカテゴリ、プラスチックというカテゴリ、金属というカテゴリ、もう少し細分化される場合もありますが、搬入時の廃棄物の内容を、種類、量まで細かく把握することはできず、もちろん、指定することは絶対にできません。一方で、いつ、何を、どのくらいの量、廃棄するのか?それぞれが、どういう素材で、どう分別・解体して、生まれ変わらすか?を見える化する。突き詰めると、すべてのエラーは、これら“捨てる情報”が存在しないことにあります。

一般の家庭に、“捨てる情報”の開示を促すことはひじょうに難しいと思っています。仮に、情報を頂けたとしても、そもそも家庭で捨てられるものでリサイクル可能なものが少ないという現実もあります。では、企業はどうでしょうか?“捨てる情報”が存在するシーンはないのでしょうか?

前置きが長くなりましたが、イベント・催事はどうでしょうか? いつ開始して、いつ終わるか? どんな会場をつくり、どんな装飾をするか? すべて明確です。 “企画する情報”は、イコール“捨てる情報”です。つまり、企画時にナカダイが入ること、少なくとも、リサイクルを推奨している廃棄物業者が入ることは、情報をあらかじめ仕入れることができるため、その後の工程・段取りが準備できる、つまり、より有効な使い方を提案できる可能性が高くなります。ここでは、すでに、リサイクル率にとどまらず、リユースの可能性、クリエイティブな使い方の可能性が広がります。さらに、その原資は? 今までの廃棄費用と同等を予算としていただければ、少なくともナカダイでは、そのコストの中でマネジメントすることはできます。

2020年、東京ではオリンピック・パラリンピックが開催されます。今は、まだまだハードの議論が多いですが、中身の仕様を決めるに際し、捨てた後の活かし方、流通をしっかり枠組みとして入れてほしいと考えています。私の知る限り、日本の環境行政、廃棄物対策、リサイクルに関しては世界でもトップクラスと考えています。だからこそ、“対策”から世界に先駆けた“創造的”チャレンジをしていきたいと思っています。

最後にもう一点。“捨てる情報”を共有する企業を集めて、各企業の廃棄物も集めて、さまざまなマテリアル(廃棄物)を組み合わせて、困りごとの解決から新しいアイデアの構築まで行うプラットフォームを構築することも考えています。不要なモノの使い方を業界の垣根を越えて議論することは、商品化が目的ではなく、自らの業界、自社の特徴を見直す、再定義するきっかけになります。

基本は、以前書いたマテリアルかるた(34回)を軸に展開しつつ、廃棄物の商品化、有効活用に止まらず、同業他社の優位性で勝負してきた企業のカルチャーを、廃棄物というリアルな困りごとを手段に、異業種他社とのマテリアルの組み合わせ、人の組み合わせで、新しいアイデアとビジネスの構築を目指すものです。少しだけ、私がこれまでチャレンジしてきた思考も役に立つと思っています。写真は産廃サミットですが、この1週間にわたるナカダイのイベントでの廃棄物はゼロです。

参加企業、大募集中です。来年末、これがどこまで進んでいるか? もがいて足踏みか? 楽しみにしていてください。(文/株式会社ナカダイ 中台澄之)

この連載は株式会社ナカダイ常務取締役・中台澄之さんに産業廃棄物に関するさまざまな話題を提供していただきます。

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