LIVING & DESIGN 2014   

シリーズ第2回 「LIVING & DESIGN 2014」を語る。 橋口新一郎+大阪内装材料協同組合 青年部

14.10.08

10月15日(水)から3日間にわたり、大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で始まる「LIVING & DESIGN」。展示を行う国内外122社のなかには、住空間での存在感が薄れつつある「和」の内装表具を新発想でアピールする好機と位置づける出展者も。「襖や和紙に対する需要は工夫次第でまだ掘り起こせる」と意欲を見せる橋口新一郎大阪内装材料協同組合 青年部です。

青年部を率いる楞川耕司さんは大阪で襖部材などの内装材料を扱うカドカワの三代目。何とか襖を身近に感じてもらえる展示にしたいという思いから、中学・高校の1年先輩にあたる建築家、橋口新一郎さんに協力を依頼しました。ブースの模型を前に、ふたりは「インパクトではどこにも負けない」と話します。そんな展示内容に「和の復権」への期待が高まっています。

▲ 「和紙の茶室」の模型を前に展示内容について語る橋口新一郎さん(写真右)と楞川耕司さん。ふたりは中学・高校の先輩後輩の間柄。「後輩を助けてやろう!」と二つ返事で今回のプロジェクトを引き受けたと、橋口さんは言います。

惨敗を糧に、不退転の決意で挑む

LIVING & DESIGNとは関西襖内装事業協同組合のスタッフとして過去に関わりがありました。しかしその印象は?と問われると“惨敗”の記憶しかありません。他の展示に人だかりができる一方で、襖絵のデザインコンペを経て選んだ作品を立て掛けただけのブースにはほとんど足を止めてもらえませんでした。訪れた人に振り向いてもらえるような展示にするためにも、新たなインパクトが不可欠と考えました(楞川さん)。

展示に協力してほしいと言われたとき、最初に思い浮かんだ言葉が「和の復興」でした。マンションを含め、新築住宅の設計で重視されるのは、いかに高機能・高密度につくるかです。そのなかで和室や畳の空間はどんどん排除されているのが現実です。生活スタイルや環境の変化を理由に挙げるのは容易いですが、本当にそれだけなのかという思いを持っていました(橋口さん)。

▲ 橋口さんが描いた展示に関するコンセプトスケッチ。ファーストアイデアがほぼ踏襲されたかたちの展示構成になるといいます。正面のにじり口の先に、和紙の魅力をとどめた小宇宙が展開します。

リノベーションやリフォーム需要が近年盛り上がっていますが、こうした動きは僕らにとって“死刑宣告“に等しいんです。古い家が改修されるごとに和室が取り壊され、襖の行き場が消失していくのですから。洋室に合うものや、若者受けするデザインを開発するべきという声はありますが、もっと根本的な部分で魅力を訴求することが必要だと感じ、今回の展示に挑んでいます(楞川さん)。

10年前の売れ残りで茶室をつくる

会場でお見せするのは、2m四方の茶室空間です。四方の壁面は、襖紙を短冊状に4分割した紙片を積み上げて構成します。 1つの壁面をつくるのに使う枚数は2,000枚強。全体で約1万枚の和紙を、コウゾでつくった支柱に差し込んで組み立てます。畳を敷いた空間では、お茶を愉しみながら、書家による作品を鑑賞してもらうという趣向です(橋口さん)。

▲ 「和紙の茶室」の模型。会場ブースには2m四方の茶室空間が設営されます。

和紙の訴求を思い立ったのは、実生活において馴染みが薄い襖よりも身近な存在だからです。LIVING & DESIGNには学生を含め若い来場者も多いので、彼らが関心を抱くような展示にすることが大きな課題でした。ふんわりとした柔らかさや透過によって表れる複雑な表情など和紙の魅力に触れることで、襖を身近に感じてもらえればうれしいですね。そこから和室専門のデザイナーや建築家が出てくることを密かに期待しています(楞川さん)。

実は、壁面を構成する襖紙は10年以上前の売れ残りです。新建材と呼ばれるものの多くは、できた瞬間から錆びていきますが、和紙は10年経ってもきれいな見え方を保っています。畳もそうですが、経年がさらなる魅力の醸成につながるのが和の建材や内装材の魅力です。海外では近年、日本ブームと相まって和室に対する需要が高まっていますが、私は日本人にこそ、その魅力を再発見してもらいたい(橋口さん)。

▲ 茶室の中には書家である深井万象氏の作品が掲げられます。

つながりを生む場として

LIVING & DESIGNへの参加は新たなつながりを生むチャンスです。会場で展開されるビジネスマッチングはもちろんですが、ボランティアでプロジェクトを応援してくれる人たちが出てきてくれたことも大きな収穫です。奈良の西大寺で10月12日(日)に催される秋の大茶盛式で、一足早く「和室の茶室」を披露することが決まりましたが、これも今回の出展がなければ実現しなかった話ですから(橋口さん)。

▲ 橋口さんの事務所で作業にあたる青木 毅さんは、東大阪市在住の内装会社社長。プロジェクトに賛同し、仕事の合間を縫って茶室の制作作業をサポートしています。こうした「人と人とのつながりも、LIVING & DESIGNの出展をきっかけに広がったものだと思う」と橋口さんと楞川さんは話します。

歴史ある催しで活動を披露し、いい流れでLIVING & DESIGNに臨みたい。大茶盛式での評判がLIVING & DESIGNへの誘因につながると嬉しいですね。実は青年部が主導する今回のプロジェクトについて、上の世代の組合員の方々にはいっさい説明はしていないんです。きっと彼らは襖そのものが展示されていたり、和紙であれば表面をきちんと見えるような展示を思い描いて会場に来るはずです。そこで「こんな非常識な展示があるか!」と思ってもらえたらしめたものです。新たな需要を取り込むためには、業界の非常識を常識に変えていくことも必要なのかもしれません(楞川さん)。

▲ 茶室に用いられる和紙は、ストック品の襖紙を縦目に4分割したものが使われます。裁断され、柱に通す穴が開けられた状態で、もみ加工を施し、独特の風合いと味わいを加えていきます。重みで積層が沈んでしまった場合は、毎日紙を加えていくとのこと。

会場では名刺大に切りそろえた手漉きによる襖紙を見本として配る予定です。コスト意識が高まり、機械で漉いた安価な紙や和紙に似せたクロス材を選択するケースが増えていますが、手で触れてもらえれば質の違いは歴然とわかります。職人が腕をふるってつくり上げたものの価値がしっとりと手にしみ込んでいくはずです。そうした感覚を持ち帰ってもらえたら、次の展開にも期待ができますね(橋口さん)。(聞き手/編集部・上條昌宏)

LIVING & DESIGN 2014 住まいと暮らしのリノベーション TOTAL INTERIOR
会場大阪国際会議場(グランキューブ大阪/大阪市北区中之島 5-3-51)
会期:2014年10月15日(水)~10月17日(金) 10:00~18:00(最終日は17:00まで)
入場料:1,000円(招待状持参者、事前登録者は無料) 事前登録はこちらより
主催:LIVING & DESIGN 2014実行委員会
総合プロデューサー:喜多俊之

橋口新一郎+大阪内装材協同組合 青年部の展示ブースは、正面エントランスから入り、会場奥の左手、12番コーナーになります。

*「和紙の茶室」はLIVING & DESIGNでの展示に先駆け、10月12日に催される西大寺・秋の大茶盛式で1日だけの限定展示が決定しています。

第1回(I&C)の記事はこちら
第3回(デザインアーク)の記事はこちら

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