連載コラム 「大谷和利の気ニナルデザイン」   

vol.44「キーカー」

14.02.12

日本国内でもロボット掃除機は思っていた以上に早く浸透し、なかには、名前をつけてペットのような関係を築いているオーナーもいるという。そんな状況を見る限り、元グーグルのプロダクトマネージャがCES 2014で発表した「キーカー」も、いくつかの条件がクリアできれば、同じような普及の過程を辿る可能性がありそうだ。

Andoidベースのこの製品は、ロボット掃除機と同等のインテリジェントな移動能力を持ち、ビデオプロジェクターや水平方向に360度のモニタリングが可能なカメラ、サラウンドスピーカー、周囲のCO2濃度や温度を感知するセンサー、Wi-Fi機能も備えている。

例えば、リビングや書斎、ベッドルーム、子供部屋など、自宅のすべての部屋に大型テレビを設置することは現実的ではない。しかし、キーカーであれば、その時々でニーズのある部屋にプロジェクターが自走して移動し、適当な壁面に映像コンテンツやゲーム、Webページなどを投影することができる。

また、世界のどこからでもインターネット経由でカメラ画像の確認が行えたり、室内の空気の質をチェックして異常を知らせることも可能であり、つまりは、必要に応じて家の中を動き回れる、ホームエンターテインメントセンター兼ホームセキュリティシステムなのである。

一方で、メーカーがキーカーにあえて掃除機能をつけていないのは、製品の目的を絞り込んで差別化を図るためや、両者に求められる形状が異なる(キーカーには高さが必要で、ロボット掃除機は平たいほうが適している)ためと思われる。それでも、家を留守にする間、セキュリティ目的で動き回るのと同時に掃除もこなせるようになると有用性がさらに高まるだろう。

課題としては、4,000~5,000ドルといわれる予想価格(2014年第4四半期の発売を予定)や、建物内での自由な往き来の障害となるドアや段差、階段などにどう対応するかといったものが考えられる。前者は、ロボット掃除機と同様に市場が確立して量産が進めば解決しそうであり、後者は住宅のバリアフリー化が1つの鍵となるだろう。

ちなみに満充電で数日間動作し、内蔵する1TBのハードディスクに映画1,000本分のコンテンツを保存可能とのことなので、スタミナやストレージも十分確保されていると言えそうだ。

また、直径約41cm、高さ約64cmというサイズも、特に日本では問題となるだろう。最近ではポケットプロジェクターの性能もかなり向上し、リコーの「シータ」のような小型全天球カメラも登場しているので、基本機能はそのままに3分の1ほどのサイズで10万円を切るようなモデルが出てくれば、個人的にもかなり食指を動かされるような気がする。




大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。著書は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)、『iBooks Author 制作ハンドブック』(共著、インプレスジャパン)など。最新刊に『成功する会社はなぜ「写真」を大事にするのか』(講談社)がある。

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