連載コラム 「大谷和利の気ニナルデザイン」   

vol.9 モノラルの「ワイヤフレーム」

11.04.12

アウトドアで楽しむ焚き火は、いつでも心を和ませてくれる。と同時に、東日本大震災以降、電気や石油の供給が滞っている地域では、ときに命をつなぐ存在ともなっている。

最も簡単な焚き火は、地面に直接燃料となる枝や葉を集めて火を付けるが、例えば、辺り一面に枯れ葉が落ちているような状況では引火の危険性もあり、また下方から空気を供給できないために燃焼効率も悪い。そこで利用されるのが、焚き火台と呼ばれる製品だ。

一般に焚き火台はオールステンレス製のものが多く、場合により、その火力を使って湯を沸かしたり、調理なども行えるように、それなりの強度を持たせてある。しかし、そのために大きく重くなり、バックパッカーよりもオートキャンパー向けの感があった。

一方、携帯性を持たせた焚き火台は、単に焚き火ができるだけで、調理器具などを載せられないものが多かった。

これらの既存製品に対し、快適性を犠牲にせずに最小限の装備でキャンプを行う「マイクロキャンピング」を提唱する日本のインディーズアウトドアブランド、モノラルが開発した「ワイヤフレーム」(17,640円)は、独自の折り畳み式ステンレスフレームと特殊耐熱クロスを組み合わせることで、980gの軽量化を実現。

デイパックに入る携帯性を維持しながら、一般的サイズ(38cm角)の焼き網がそのまま載せられたり、フレームの上端の四隅に空けられた穴を利用して専用の五徳や串焼きのためのアタッチメントを付加できるなど、機能の拡張性も確保されている。

ステンレスワイヤから吊り下げられた耐熱クロスは、火床に薪などの荷重がかかると自然に立体的に変形して箱形となり、灰の飛散や落下を防ぐことができる。

ワイヤフレームは、焚き火という原始的な知恵に、最新の技術と実体験に基づくアイデアが加わることで、新たな価値が生まれることの好例と言えるだろう。




大谷和利/テクノロジーライター、東京・原宿にあるセレクトショップ「AssistOn」のアドバイザーであり、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真に関する執筆のほか、商品企画のコンサルティングも行う。近著は『iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス』『iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化』『43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意』(以上、アスキー新書)、『Macintosh名機図鑑』『iPhoneカメラ200%活用術』(以上、エイ出版社)、『iPhoneカメラライフ』(BNN新社)など。

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