産学共同の正しいやり方・番外編/多摩美術大学とナイキの「マス・クラフトマンシップ」プロジェクト その1
11.02.15

現在発売中のAXIS149号の連載「産学共同の正しいやり方」で紹介しているのが、多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクト研究室とナイキによる「マス・クラフトマンシップ」プロジェクト。伝統工芸や職人の手業の持つ高度な技術や強さを最大限に生かして、新たな製品をデザインしていこうという取り組みです。今回求められたのは、「未来の夢物語ではなく、新しい可能性がありながら、すぐ実案化でき、ナイキとして開発に着手したくなるようなもの」(同学科 濱田芳治准教授)というように、どれもリサーチ段階から丹念に力を注いだ説得力のある作品が揃いました。プロジェクトの詳細プロセスは149号をご覧いただくこととし、ここでは紙幅の都合で掲載できなかった作品を紹介していきます。

「NIKE BARE SHOOT」(荒木宏介)*一番上の写真も。
都会に暮らす子供たちに向けた裸足感覚のサッカートレーニングシューズ。幼い頃から裸足でボールに触れることで高度なテクニックを身に着ける南米などの子供たちからインスピレーションを得た。伸縮地でできていて、靴下のように足にフィット、裸足で触れているかのように足にボールの感覚が伝わることで、ボールタッチの感覚が養われ、足の鍛錬とともにサッカーの技術が上達する。強く蹴るところ・よく蹴るところ・摩耗の激しいところは、保護しながら耐久性を上げるため表面を厚めに覆っている。また、インサイドは面で蹴るほかに、回転をかける蹴り方をよくするため凹凸をつけ、アウトサイドは面でボールをとらえることが多いためフラットにするなど、リサーチに基づいた工夫が施されている。


「NIKE POCKET」(葛西毅亮)
プリーツ技法を応用した、畳んでポケットに入れることのできるシューズ。足の動き(前後運動)に合わせてプリーツのパターンを設計し、ソールとアッパーのパターンを統一することで、最小限に畳むことを可能にした。素材には繰り返しの曲げにも強く、適度な弾力が得られ、体重を支える強度も持つポリプロピレンを採用。
提案はシューズだけではありません。

「NIKE pit」(三重野陽子)
シェル状の構造でラケットの長さを気にせず肩にかけることができるテニスバッグ。対象ユーザーを20〜30代の女性に設定しており、シューズやウェア、タオル、ボール、化粧ポーチなども小分けにして収納可能。従来のショルダータイプのテニスバッグが持つ問題点を洗い出すなかて、この持ち方に辿り着いた。腕を通す穴の位置をトップより少し低く設定しているため、背の低い女性でもラケットの長さを気にせずに持つことができる。大きく見えてくるサイド面には、クラフト技法である手織りの布地を採用している。
次回につづきます。
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