第19回「小さな村のニューアート その2」
11.01.29

前回に続き、人口800人というドイツの小さな村、レンテで開催された小さな芸術ビエンナーレ「古庭園のニューアート」の作品を紹介します。
ビルギット・ディーカーのインスタレーション(上の写真)は「おんぶ」と題し、カラフルな古着でできた花飾りが大木に絡み付いています。移民やホームレスが自分の持ち物が盗まれないように昼間は木の上に固定することがあるという現実にインスパイアされたそうです。

遠くから見るとゴムタイヤが何かの爆発で飛び散ったかのようですが、近寄るとそのオブジェは半球体で素材は黒いワックスでした。作者のデニス・フェッダーゼンは生存競争においては、自ら変容して他者になることも必要ではないかと脱皮のプロセスを表現したのです。

魂を奪われないよう人間から樹木にトランスフォームしつつある少女のブロンズ像(ラオラ・フォード作)がとおせんぼするかのように立ちはだかります。

お堀にはクリスチアーネ・メーブスによるココナッツ製の救命アイランドがプカプカ浮かんでいます。

根本から真っ二つに割れて倒れた大木のインスタレーションが鑑賞ルートをふさいでいます。同行のキュレーターも絶句したほどすごいインパクトでてっきり展示作品だと思ったのですが、実は前夜の豪雨と暴風、自然の破壊力がなした技でした。後から来た人々も作品と勘違いし、「これは生存意志の放棄を象徴する」などいろいろと解釈し合って話に熱が入っていました。「違うんですよ」と声をかけたくなりましたが、余計な真実は明かさないほうがいいかと、内緒にしておきました。(写真・文/小町英恵)
この連載コラム「クリエイティブ・ドイチュラント」では、ハノーファー在住の文化ジャーナリスト&フォトグラファー、小町英恵さんに分野を限らずデザイン、建築、工芸、アートなど、さまざまな話題を提供いただきます。今までの連載記事はこちら。
関連記事はありません








