本づくし   

新刊案内

10.07.06

『てむすび』
瀬戸けいた・なおよ(Seto)著 (主婦の友社 セレクトBOOKS 1,260円)



ブルーノ・ムナーリが、イタリア人の手を用いたジェスチャーを書籍としてまとめていたが、本書はコミュニケーションの方法というより、手を使った造形に注目した一冊。「何に見える? 両手を組むだけで生まれる不思議なかたち、いきもの…」という副題のとおり、両手を駆使した100種類にも及ぶ「いきもの」や「しぜん」「もの」の形のつくり方、遊び方を提案する。

本書めくっていくと「コブラに見える」と即座にわかる形から、「どうしたらダルマに見えるんだろう?」「指が絡まりそう」と戸惑うものまでさまざま。でも、思考の柔軟な、想像力に溢れる子供たちなら、自分たちでアレンジを加え、さらに多種多様な「いきもの」や「もの」をつくり出せそうだ。

なお、著者の瀬戸けいた、なおよは、デザインレーベル「Seto」を主宰するデザイナー。生き物に見立てたバッグのデザインや、動物園のグラフィックデザインなどで知られている。128ページ。



『幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷』
髙木崇世芝、安村敏信、坪内祐三、ヘンリー・スミス、山本 命 著(INAX BOOKLET 1,575円)


展覧会と同期して書籍を刊行するINAXギャラリー企画委員会。大阪で始まっている「幕末の探検家 松浦武四郎と一畳敷」展(8月17日まで。その後、名古屋、東京へ巡回)では、蝦夷地探検家であり、生涯にわたり240点以上のすぐれた著作を遺した松浦武四郎の多彩な活動を紹介する。

本書は、アイヌ語の地名を書き入れた緻密な地図「蝦夷山川地理取調地図」でスタート。その後、全国各地を旅した際の覚書など民俗学的な視点に触れ、さらに和歌や篆刻にも才を発揮し、文物の蒐集家でもあったという側面を明らかにしていく。

本書後半を占めるのは、東京・神田に完成させた書斎「一畳敷」。これは各地の寺社仏閣の古材91点を用いた、松浦の集大成といわれる庵だ。長年の旅の足跡、多彩ぶりが、本書からいかんなく伝わってくる。A4判変型、78ページ。祖父江 慎のアートディレクションも見応え十分。


目次
・松浦武四郎の蝦夷地図ーー髙木崇世芝(古地図研究家)
・記録 
 野帳
 絵双六
 刊行本
 北海道人樹下午睡図
 奇想の仏画北海道人樹下午睡図ーー安村敏信(板橋区立美術館館長)

・交流
 渋団扇帖
 篆刻
 松浦武四郎は山中共古の名付け親ーー坪内祐三(評論家)
 
・幕末の探検家 松浦武四郎の一畳敷

・インタビュー ーー ヘンリー・スミス(コロンビア大学教授)

・解説ーー山本 命(松浦武四郎記念館)

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